不動産決済日(引渡し日)の流れを徹底解説
更新日:2021-02-21
一般の個人の方が人生で不動産を購入する機会はそう多くないかと思います。
不動産の売買代金の残額を支払う日(決済日)とそれに伴う不動産引渡日には、売買の当事者である買主、売主、関係者である不動産仲介業者、司法書士、金融機関の担当等、皆さんが予定を組んで集まる大切な日です。
緊張される方も中にはいらっしゃるかと思いますが、緊張する必要はありません。
この記事を読んで不動産決済日に備えていただければ幸いです。
今回は不動産決済日の1日の流れを説明していきたいと思います。
残代金決済日(引渡し日)
残代金の決済日は月末に執り行われることが一般的ですが、六曜(ろくよう)を気にされる方もいらっしゃるかと思いますので、月末の大安というのは不動産残代金決済がとても集中します。
また、売買代金のお振込みをする手前(現金を持参して直接お支払いするケースは別ですが)、銀行の営業日及び振込が出来る時間でなくてはなりません。
そして、残代金を支払った当日に登記申請をし、登記を備えることを考慮すると、法務局(登記所)の開庁している平日でなくてはなりません。
そのため、決済日は基本的に平日になります。
※融資がなく売買代金の支払い日に登記申請出来ないことを、売買の当事者が了承済みであれば土日になることもまれにあります。
不動産業者が水曜日休みのところがほとんどだと思いますので、『月末』『平日』『大安』『水曜日以外』に当てはまる日は、全国の不動産決済を多数受任している司法書士事務所は大忙しです。
午前中に決済をスタートする理由
これにはいくつか理由があります。
誰かが遅刻する
売主、買主、不動産業者、司法書士の誰かが遅刻するケースです。司法書士は通常大幅な公共交通機関の乱れ以外は遅刻しないかと思いますので、よくあるケースは売主、買主のどちらかが遅刻するケースです。
司法書士は、登記に必要な書類が整っているかどうかを確認しないと融資実行及び売買代金の支払い(融資がない場合は売買代金の支払い)を促しませんので、売主、買主のどちらかが遅刻した場合は決済が終わりません。(事前に登記に必要な書類をお預かりしていて、意思確認及び本人確認が済んでいれば別ですが)
そのため、当事者関係者の誰かが遅刻してもいいように、午前9時や10時からスタートし、もし万が一誰かが遅刻した場合でも午後から仕切り直しできるようにするためです。
必要なものを忘れる
融資実行や売買代金を支払うための銀行登録印を忘れたり、売主さんが登記に必要な書類(権利証や印鑑証明書)を忘れる場合等です。
また、たまにあるケースですが、不動産売買の際に売主に用意していただく印鑑証明書というのは登記申請日(通常は決済日)から3か月以内に発行された書類でなくてはいけませんが、この期限が過ぎてしまっているケースもあります。
この忘れ物を取りにいってもらったり、売主さんのご自宅まで同行し、権利証を一緒に探すといったこともまれにあります。
振込時間のリミット
通常売買代金というと数百万円、数千万円となることがほとんどですので、金融機関側の事務手続きの都合、売主への着金確認までがきちんと確認できる時間として、14時くらいまでに振込手続き出来ないのであれば延期になるケースがほとんどです。
こういったリスクを極力軽減する意味もあります。
登記申請のリミット
実務上、売買代金決済日(所有権移転日)当日に登記申請をしますので、法務局が登記申請を受理する17時15分までに登記申請をしなければなりません。
余裕をもって登記申請できるように、やはり午前中に決済時間を設けていただけると司法書士としては助かります。
決済場所
決済日には当事者関係者が集まりますので、集まる場所を決めます。
銀行のブース
ご融資がある場合は、借入先金融機関のブースで集まることが最も一般的です。融資がある場合は基本的にブースを借りることができます。
お借入れがなく現金で売買代金を支払う場合は、買主様が売買代金を預金している銀行でブースを借りれるケースもあります。
不動産会社のオフィス
お借入れをしないで売買代金を支払う場合や、住宅ローンのお借入れ先がネット銀行(店舗を持たない銀行)の場合には、不動産会社のオフィスで集まることもあります。
この場合は、登記に必要な書類が整ったら売買代金を支払いに買主さん及び不動産仲介業者が近くの預金先金融機関に出向いて、売買代金を支払います。
ネット銀行を利用される場合には、ネット銀行指定の司法書士が抵当権設定登記を担当しますので、ネット銀行指定の司法書士がネット銀行に電話をして、融資実行を促します。
司法書士事務所
不動産会社のオフィスで集まる場合のケースでは、司法書士事務所に集まる場合もあります。
この場合も不動産会社のオフィスで集まる場合と同様に、書類が整ったら金融機関に買主だけ振込に出向いてもらいます。
銀行のブースが借りれない場合
不動産を現金で購入する場合で買主の売買代金の預金先の金融機関でブースが借りれないケースがあります。
融資がある場合は、買主さんは銀行からしたらお金をたくさん借りてくれるお客様ですが、ただ売買代金の振込手続きをするだけの人は一般のお客様と一緒ですので、そうゆう一般のお客さん全員にブースを貸していると、銀行側としても大変なのでしょう。
そういう場合に、結局金融機関に振込みの手続きをしに行くのに、いちいち不動産会社のオフィスに集まったり、司法書士事務所で集まったりするのが煩雑な場合、銀行で集合して銀行の筆記スペース等で書類のやり取りや署名押印する場合があります。
集合したらやること
名刺交換
決済場所には司法書士や不動産仲介業者が早めに到着していることが多いため、来た人から順にお会いした方全員と名刺交換をします。(そのため、決済を多数受任している司法書士事務所は名刺の減るスピードがかなり早いです。)
司法書士による人・物・意思(ヒトモノイシ)の確認
司法書士は職責に基づき、人・物・意思の確認をしなければなりません。
真正な権利が不動産登記簿に公示できているのは、司法書士が不動産売買の取引に実務上ほとんど関与していて、きちんと人・物・意思の確認をしているためです。
人(ヒト)
人とは登記名義人である売主さんと登記簿に名義が載ることとなる買主さんです。運転免許証等の本人確認資料と売買契約の当事者が相違ないかを確認します。
物(モノ)
物とは売買対象の不動産のことです。
売買契約書に表示されている不動産と、売買対象の不動産登記簿を照らし、売買対象不動産が当事者の認識と相違がないかを確認します。
意思(イシ)
売買の当事者にそれぞれ、売却する意思、購入する意思を確認します。
形式的ではありますが、物の確認とともに意思の確認もします。
登記申請に必要な書類の確認
司法書士が事前に案内をしていた登記に必要な書類を売買の当事者、不動産業者からお預かりし確認します。
そして売買の当事者に登記申請に必要な登記原因証明情報や委任状等に署名押印頂きます。
登記原因証明情報について詳しく知りたい方は『登記原因証明情報とは?』をご覧ください。
署名押印頂いている間に権利証や印鑑証明書を確認し、押印頂いたら押印書類の実印照合等をします。
融資実行及び売買代金の支払いを促す
人・物・意思及び登記に必要な書類が問題なければ、司法書士が融資実行及び売買代金の支払い(現金で購入の場合は売買代金の支払い)を促します。
伝票等を先に書いていただいても登記の書類が確認出来なければ売買代金の支払いを促しませんので、通常は伝票関係を記入する前に登記関係の書類の説明等をさせていただきます。
出金伝票、振込依頼票の記入
金融機関の窓口で振込手続きをする場合は、金融機関にもよりますが、基本的に出金伝票と振込依頼票を記入します。
この出金と振込を兼ねている書類も金融機関によってはあります。
不動産売買にかかった諸費用を明確にするため、売買代金、固定資産税・都市計画税の精算金(区分建物の場合は、管理費・修繕積立金も含む)、仲介手数料、登記費用をそれぞれ出金伝票に記入押印し、売主さんに支払う費用を振込依頼票に記入押印します。
その伝票を金融機関の担当に渡します。
出金依頼及び振込手続き中
出金依頼と売買代金の振込の手続きは金融機関にもよりますが、空いてる日でも最低20分以上かかります。
この間に、不動産業者、司法書士が説明することがあれば説明をします。
引渡し完了確認書・領収書
不動産業者によっては、引渡し完了確認書をもらう会社もありますので、この時間にそういった書類にも署名押印します。
また、残代金の領収書にもこの時間を利用して売主さんに署名押印いただくことが多いです。
司法書士から登記完了後の書類のご説明
登記完了後に発行される登記識別情報等の書類のご説明及び郵送先を空いてる時間に聞きます。
登記完了後発送する書類について詳しく知りたい方は『登記完了後に買主様に郵送する書類一覧』をご覧ください。
※当事務所では、マイホームのご購入の場合は、確実に引越している日を伺って引越し後の新居宛に登記関係の書類をご郵送させていただくことが多いです。
無言タイム
一通り不動産業者、司法書士からの説明も終わると雑談の時間になりますが、待ち時間が長くなるにつれ話も尽きて、関係者当事者が無言になってしまうことがあります。
※当事務所の所員がご決済の日にお立合いさせていただく場合には、極力無言の時間を作らぬよう致しますのでお任せください!
振込完了
振込が完了し、出金も終わると、金融機関の担当の方が出金した現金をブースまでもってきてくれます。
この出金した現金を仲介手数料、司法書士の登記費用といった具合に振り分けをして、領収書をお渡しします。
売買代金が着金出来ているか確認し(購入する不動産に抵当権等の担保権が設定されている場合は、司法書士が売主さんの借入先金融機関にも着金しているか連絡して確認)、確認出来れば売主さんが買主さんに売買代金の残金の領収書をお渡しします。
また、この時に購入した不動産の鍵や設備の取扱い説明書等も売主さんから買主さんに渡されます。
解散
これにて不動産取引は終了し、各自解散します。
このあと司法書士が、購入する不動産に担保権が設定されている場合には、担保権を抹消することができる書類を売主さんの借入先金融機関に受領し、要件を満たしていれば住宅用家屋証明書を取得するため、役所に出向き、決済日当日中に登記を申請する流れになります。
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