有効証明請求、不失効証明について
「司法書士事務所の見積もりに有効証明請求という項目があったけどこれはどういう手続き?」
「有効証明請求ってする意味あるの?」
インターネットで調べてもこの手続きの意味がわからないという方もいらっしゃったんじゃないでしょうか?
本稿では権利証の代わりに創設された登記識別情報についての制度である、有効証明請求・不失効証明について解説します。
有効証明請求・不失効証明はいつ使うか?
不動産登記法が平成17年に改正されたことに伴い登記済権利証が廃止され、登記識別情報通知に切り替わりました。
登記識別情報通知は、不動産の登記名義人に対して発行される書面で、12桁の暗号化された秘密の番号でできています。
法務局はこの秘密の番号を盗み見られた場合に備えて登記識別情報の効力を失効させる制度を設けています。
この失効の申出をしているかどうか、登記識別情報通知が有効かどうかは、登記簿を見ても載っているものではありません。
所有者が原本を所持している場合でも、上記の申出がされている可能性もあり、確実に有効とは限りません。
そこで事前に登記識別情報通知書が有効かどうか調べる必要があり、この調べる方法を有効証明制度と言います。
しかし、事前に有効証明請求をするためにはお客様から登記識別情報通知書を預かる必要があり、
この書類は重要な書類で、いくら司法書士でも「預けたくない」「信頼できない」といった理由で、
実際の不動産取引の実務で行うのは難しいところがあります。
有効証明請求を事前に行うことができない場合に行われている手段として
不通知・失効証明請求というのがあります。司法書士の業界では不失効証明と呼ばれています。
有効証明請求と不失効証明の違い
有効証明請求 → 登記識別情報通知書が失効していないことの証明 =有効であること
を法務局に回答を求める請求です。
回答として、「提供された登記識別情報は、当該登記に係るものであり、失効していないことを証明する。」
といった回答が返ってきます。
不通知・失効証明請求 → 登記識別情報が通知されていないことまたは失効していることの証明
を法務局に回答を求める請求です。
回答として、「登記識別情報が通知され、かつ、失効していません。」
といった回答が返ってきます。
上記のとおり、有効証明請求は、特定の内容の登記識別情報通知書を提供しているため、
特定の内容の登記識別情報通知書が有効であることがわかります。
不通知・未失効証明請求は、登記識別情報が通知され、かつ、失効していないことの証明がされるだけであり、
特定の内容の登記識別情報通知書が有効であるかどうかを証明するものではありません。
請求した内容の登記識別情報通知書が発行されていて、この世の中に存在することのみを証明しているに過ぎません。
当事務所では、登記識別情報通知のシール・ミシン目が剥がされている場合には、有効証明請求のお手続きをしております。
有効証明請求、不通知・失効証明請求の必要書類等
有効証明請求 -司法書士が代理して申請する場合ー
<書面で申請する場合>
・有効証明請求書(職印の押印)
・登記識別情報(コピー可、原本還付はすることができない。)
→ 提供方法として、
①当該登記識別情報を記載した書面を、
②申請人の氏名(名称)と登記の目的を記載した封筒に入れて封をし、
③封に当該書面が在中している旨を明記する。
・司法書士が
個人の場合 → 所属する司法書士会発行の職印に関する証明書
法人の場合 → 管轄内の登記所の発行する印鑑証明書
・手数料 → 不動産1個につき300円
<オンライン申請の場合>
・登記・供託オンライン申請システムの「有効証明」の請求書に必要事項を入力して作成
・登記識別情報の提供
→ 請求書の登記識別情報様式作成に12桁の番号を入力して提供(書面と異なり紙で提供は不要)
・電子署名をして、電子証明書の提供
・手数料 → 不動産1個につき300円
不通知・失効証明請求 -司法書士が代理して申請する場合ー
<書面申請の場合>
・不通知・失効証明請求書(職印の押印)
・司法書士が
個人の場合 → 所属する司法書士会発行の職印に関する証明書
法人の場合 → 管轄内の登記所の発行する印鑑証明書
・手数料 → 不動産1個につき300円
<オンライン申請の場合>
・オンライン申請ソフトの「不通知・失効証明」の請求書に必要事項を入力して作成
・電子署名をして、電子証明書の提供
・手数料 → 不動産1個につき300円
→ 書面申請及びオンライン申請ともに登記識別情報通知書の提供は不要です。
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